4歳児は安定した身体表現の力が備わり、筆記や知的な課題、演奏のための技術に取り組めるようになります。
「4歳のためのピコルわーるど」では、より音楽的なアプローチによる鍵盤学習、
そして音符の読み書きの力を養い、自分なりのイメージを抱いて、楽譜に記されている“音楽”を味わって
演奏表現することを目標とします。その中で自分の特徴、個性、感情や感覚に出会い、感性を磨いていきます。
また、知る喜び、学ぶ喜びにも出会い、学習意欲を育て鍵盤演奏の達成感を味わいましょう。
音楽的な鍵盤学習のために、「歌う」「聴く」「動く」「リズムに乗る」「自ら制作する」に加えて「演奏するためのリトミック活動」を取り入れます。
音楽的アプローチによって、「生きた音楽」を常に味わいながら、鍵盤演奏のための明確な学習目的を、一つ一つこなし習熟していきます。
冒頭から「五線譜の読譜」と「リズムの理解」による読譜演奏の準備に入ります。テキストや副教材を、読み、歌い、描き、意欲がはぐくまれるようなアプローチで習得していきます。
自分で読譜して、自分なりのイメージを抱いて、楽譜に記されている“音楽”を味わって演奏表現しようとすることを目標としています。
3歳児は好奇心の旺盛な時期です。それ以前は何をするにも周囲の大人に大きく依存していましたが、この頃から少しずつ周りの人やモノとかかわり、“面白いもの探し”をしているような日々となります。
こだわりが強いのもこの時期の特徴です。人が持っているものが欲しくて我慢できなかったり、好き嫌いをハッキリ伝えたりするなど。幼児は、どのようにしたら他者と良い関係を築けるのか、試行錯誤の日々を過ごしているのです。これは自我の芽生えであり、成長の証でもあります。こういうとき、大人は寛容にかかわることが肝心です。幼児自身が“愛されているという実感”を持てるようにかかわりましょう。
幼児は絶え間なく動きます。幼児にとって、動きは言葉に代わる言葉なのです。動きは、幼児の心の様子を映し出しています。
「ピコルわーるど」では、仲間と共に音楽参加する機会を得て、(幼児の)意思やイメージを育みます。動きを言葉に換え、思いを音に託していくのです。そして、歌や動きのレパートリーを広げ、音楽の楽しさを味わい、仲間と一緒に過ごす喜びを味わいます。活動を通じて、幼児は語彙を獲得し、自己制御することも学んでいきます。
「ピコルわーるど」では、遊びのような雰囲気の中で展開されます。この雰囲気は、学習を継続していくために欠かせない要件となります。また、この温かな雰囲気の中でこそ、自分の持てる五感を駆使することができるのです。音や音楽の違いに気付き、他者と自分との違いにも気づく機会を得ます。そこではさまざまな葛藤にも巡り合うことでしょう。それをうまくやりくりできたとき、幼児は小さな成功体験を味わいます。大きな成功体験よりも小さな成功体験に溢れることが大切です。自信と勇気を味わうのです。
さあ、音楽と共に伸びやかな時間を過ごしてみましょう。そのレッスンの前には、トイレや睡眠など、体調を整えることも忘れないで。
国立音楽大学副学長神原 雅之