寄り添う心
カワイ音楽教室の六十周年に当たり、自分の経験を振り返ると、つくづく「ピアノの先生」はピアノを教えるだけではないと感じます。
幼稚園や学校のように担任が代わることはなく、出会ってからずっと生徒さんと共に歩み、寄り添う。責任ある職業だと思うのです。
担当する生徒さんは0歳から八十代までいます。指導に際しては、音楽の知識や演奏力に加え、幼児心理学、造形活動、運動能力に関する理解、コミュニケーション能力などが求められます。生き生きと輝く眼差しで、全身で表現する子どもたちは、音楽の素晴らしさを教えてくれます。不登校や引きこもり、学校や家庭での悩みを抱える生徒から、相談を寄せられることもあります。人生の先輩である生徒さんは、人としてあるべき姿や考え方を教えてくれます。日々学びの連続です。
周囲の先生方も同じだと思います。いつもより良い指導に向けて、試行錯誤されています。「ピアノの先生」は何でもできるわけではありませんが、目の前にいる生徒さんが少しでも心豊かな時を過ごせるよう、今後も笑顔で迎え続けたいです。